2014年3月13日木曜日

VENEZIA5・カンパニーレ・空島 青

サンマルコ広場にあるカンパニーレ(鐘楼)に上ることが出来る。大きなエレベーターで一気に鐘楼の鐘のあるところまで登ると、360度視界が広がる。 青い空を突き刺す塔の先端には、三角屋根の真下に広い空間があり、眼下にはアドリア海が見渡す限り広がっていてる。ラグーンにはひときわ日に照らされ光るサン・ジョルジョ・マッジョッレ教会が浮かんで見え、 朝日の中で幻想を見る事が出来る。 こんな風景に出会うことは想像していただろうか。言いようのない体験をしている事が実感できた。 街の方に眼を転じると茶色に焼いた煉瓦の屋根と教会の緑青(ロクショウ色)屋根の連なりが、複雑な迷宮の都の美しさを読み取る事が出来る。 再び街の方に目を転じると、運河や道の方向曲がり具合は建物同士が狭いために見えない。したがって敵がベネチアで一番高いこのカンパニーレを征服しても、全体像を地図のようには理解出来ないことだけは想像できる。よくよく上手くできた迷路だ。

2014年3月7日金曜日

VENEZIA4・赤いゴブレット・空島 青

アカデミア美術館を目指してアカデミア橋を渡り、カナル グランデに沿って北に向かったところにサン・バルナバ広場がある。広場に面した教会あたりは観光客や地元の人々の通りも少ない。映画『旅情』キャサリン・ヘップバーン扮するジェーンとイタリア男レナードの出会う場面で有名だ。主人公は橋のたもとの骨董屋で赤いゴブレットを見つけるシーンがここだ。 少し武骨な教会の塔が気になるが広場は比較的広く日の当たる快適な散歩道だ。一つ先の橋から広場を眺めるのがいい。橋の下の運河は何から何までも運んでくれる。 人生の最後のゴンドラ、お葬式の時は教会の広場に面した広場からゴンドラに乗せてもらい、お墓のある島までの小さな旅をすることになる。絵描きは自分の最後を予感していたらしい。 ゴンドラは橋の上からいろんな人に見られてしまい、なかなか乗る勇気が湧かないが元気なうちに乗ってみたいものだ。

2014年3月6日木曜日

VENEZIA3・細い道、迷路・空島 青

ベニスの街並みは歴史的背景として豪商たちの隠れ家であり、頭で描けないようになっている。つまりわざと迷路を造っている。広場から広場につながる道を理解していないと歩けない、つまりは迷ってしまう。 細い道(カッレ)は右側をスタスタ歩かないと住民には迷惑のようだ。ブラブラ歩きしたかったらグランドカナルに面した広い道を、海面に浮かぶゴンドラや水上バスそして教会のシルエット楽しんだらいいだろう。 両手を広げた広さしかない一般の道は建物の下を通り抜け、その先が直角に曲がっていて先に行けるのか不安にさえなってしまう。 時には3m位の運河沿いに、水際ぎりぎりに立つモールに出会うことがある。この道はせいぜい10m位の長さしかないが、余り人が通らないから橋を行きかう人を見るのに良い空間だ。 いつまでも立ち止まってはいられないと、絵描きの短い時間で描いたスケッチが残っている。そして歩き疲れたら運河沿いにテーブルを出しているカフェで、カフェラッテを注文してのんびりひと休みしたい。

2014年2月27日木曜日

VENEZIA2・サンマルコ広場・空島 青

ホテルからほどなくサンマルコ広場に出てしまう。季節外れの秋の終わり、夏はごった返す広場でもこの季節ひとは少ない。初めて来たころはサンマルコ広場が自分の中で憧れのキーワードになっていた。 少し形を崩しながらも計算され囲まれた広場、空間の流れが自然に小広場からグランドカナルに開放されて行く、空間のリズムが『起承転結』の美しい文章のようだ。この空間にあこがれて沢山の建築家が現代建築に挑んできた。私の尊敬するアメリカの建築家ポール・ルドルフも恩師山下司先生も影響をうけていた。 聳え立つカンパニーレ(鐘楼)は9世紀にたてられ改築増築を繰り返し、1902年7月14日朝、廻りの建築を巻き沿いにしながら突然崩れたが、元の場所にもとの形で元の煉瓦を使い再建された。 どちらにしてもベニスでは全ての棟が少し傾いていて、ラグーンの上に立った迷宮の街は心もとなく建っている。 クランドカナルに面したピンク色に輝くドゥカーレ(総督宮殿)が好きだ。ベネチアンアーチの透けた列柱の構成と上階の閉じた壁タイルの対比が、サンマルコ広場からの空間の流れをしっかりと受け止めている。 晴れた真っ青な空に塔がくっきりと美しい。ベニスにいる間にはにカンパニーレに上ってみようと思った。

2014年2月25日火曜日

VENEZIA1・水上乗合バス・空島 青

昔のことだが空港のオールドターミナルを出ると数メートル先が、漆黒のアドリア海に面していて予約のモーターボート(水上タクシー)が待っていてくれたと絵描きが教えてくれた。 現在は新しいターミナル、ベニスマルコポーロ空港に着くと、スーツケースを転がしながら10分ほど歩いたところに、ヴァポレット(空港からの乗合船)がある。 行先を車掌に告げて料金を払うと、船は暗闇のラグーンを杭の間を目印に波を蹴立てて進み、いくつかの港を経由し真夜中を照らすサン ザッカリア(San Zaccaria )に着く。 個人旅行では乗合船が経済的でのあり、帰宅の通勤客と一緒で夜中の日常を味わいながらの乗合船は面白い、又少し心配なら飛行場から徒歩10分、水上タクシー(木製ニス仕上げのきれいなモーターボート)もあるが、やっぱり乗合船は地元の人が乗り込んで来るから安心だ。 ホテルはVILLA IGEAの別棟704号室、残念ながら今回はグランドカナル(大運河)の見えない部屋に通された。料金を値切ったことが失敗かもしれない。一人部屋は部屋も景色も淋しい。どうせなら割増になってもツインにした方が良かったかもしれない。 朝日のまぶしさに目が覚めると、懐かしいホテルの朝食。さすが本場、ハムの多さを充分楽しみ、コーヒーを飲んだら、兎に角運河の見えるところに出て、この街に早く溶け込みたい気分になる。