ホテルからほどなくサンマルコ広場に出てしまう。季節外れの秋の終わり、夏はごった返す広場でもこの季節ひとは少ない。初めて来たころはサンマルコ広場が自分の中で憧れのキーワードになっていた。
少し形を崩しながらも計算され囲まれた広場、空間の流れが自然に小広場からグランドカナルに開放されて行く、空間のリズムが『起承転結』の美しい文章のようだ。この空間にあこがれて沢山の建築家が現代建築に挑んできた。私の尊敬するアメリカの建築家ポール・ルドルフも恩師山下司先生も影響をうけていた。
聳え立つカンパニーレ(鐘楼)は9世紀にたてられ改築増築を繰り返し、1902年7月14日朝、廻りの建築を巻き沿いにしながら突然崩れたが、元の場所にもとの形で元の煉瓦を使い再建された。
どちらにしてもベニスでは全ての棟が少し傾いていて、ラグーンの上に立った迷宮の街は心もとなく建っている。
クランドカナルに面したピンク色に輝くドゥカーレ(総督宮殿)が好きだ。ベネチアンアーチの透けた列柱の構成と上階の閉じた壁タイルの対比が、サンマルコ広場からの空間の流れをしっかりと受け止めている。
晴れた真っ青な空に塔がくっきりと美しい。ベニスにいる間にはにカンパニーレに上ってみようと思った。
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